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地域連携の活動から広がる可能性
スタッフの提案から
プリン販売がスタート。
仕事の可能性を広げていく。
ヒュッテ目黒では、中目黒のプリン専門店「マハカラ」さんと連携し、飲み込む力が弱くなった高齢者でもそのまま食べられる「ヒュッテ目黒のうれしいプリン」を開発。さらに、ヒュッテ目黒の敷地内で地域の人を対象に移動販売を実施しています。このプロジェクトで目指したものや、実現したい想いなどについて、ヒュッテ目黒の永井支配人と大和マネジャーに聞きました。
- 店主 金丸江里さん
- 大和マネジャー
- 永井支配人
ラウンジをプリンの
イートインスペースとして開放
マハカラさんの「うれしいプリン」の現在の販売状況は?
永井支配人:
毎週水曜日の14時〜17時に、ヒュッテ目黒の玄関先にテントを張って、マハカラさんに「うれしいプリン」や季節ごとのプリンを販売していただいています。「うれしいプリン」は、ヒュッテ目黒で販売をするにあたって開発していただいたなめらかさが特徴のプリンで、小さい子どもから嚥下機能が弱くなった高齢者まで食べられるので、介護度が高いヒュッテ目黒のご入居者でも、安心して食べられます。
ヒュッテ目黒はエントランスを入ったところにラウンジがあり、ご購入いただいたお客さまにはラウンジをイートインスペースとして開放しています。
大和マネジャー: イートインスペースでは、コーヒーをサービスしています。移動販売にあたり、マハカラさんとコラボレーションをした取り組みを行いたいと思い、私自身が趣味としているコーヒー焙煎のワークショップを開催しています。うれしいプリンと相性のよい焙煎したてのコーヒーを淹れて、サービスをしています。また、接客は、LOVOT「ころすけ」が担当しています。人懐っこい性格で、人が来ると寄っていくので、「ころすけ」目当てのお客さまもいるほど人気です(笑)。
地域とつながる取組としてスタート。
今回は地域のお店とコラボした取組ですが、どのような目的で始めましたか?
永井支配人:
ヒュッテ目黒は開設17年になりますが、近隣の方に老人ホームだと認識されていないという課題がありました。
目黒区には「Dカフェ」と呼ばれる認知症カフェが10箇所以上あり、私も参加させていただいているのですが、常時開放されて近隣の人が通り抜けできるようになっている特別養護老人ホームがあることを知りました。常時開放は難しくても、もう少し地域に根ざしていくための取組ができないか?と考えていたところ、スタッフから「マハカラさんのプリンを、ご入居者にお出したい。」とアイデアを出されました。マハカラさんは地元の人気店ですし、これは良い機会だと思って始めることにしました。
大和マネジャー: ラウンジをカフェとして開放することについては、老人ホームの敷地内に関係者以外の人をいれるのはどうなのか?という考え方もあると思います。コロナ禍を経ていますが、感染症予防の配慮も行い、ご入居者の暮らしを優先し、スペースの使い方や時間帯を考慮して、柔軟性をもって開放することに向けて動きました。ご家族にもご説明をしましたが、ネガティブな反応はありませんでした。面会日を水曜日にして、プリンを買って、イートインスペースで食べることを楽しみにしてくださっているご家族もいます。
ホームと地域がつながり、
ご入居者と社会をつなぐ役割も。
今回の取組を実施して、
どのような変化がありましたか?
大和マネジャー: プリンを購入されるお客さまは、ご近所の方も多いです。購入の機会にお話することもあり、ここが老人ホームであることを知ってもらえるキッカケになっています。ラウンジを開放したことで中が見えて、気軽に利用できるので、これまでよりも、敷居が低くなったとも感じています。プリンを移動販売している傍らには、ヒュッテ目黒のパンフレットやチラシも置いているのですが、それを手に取ってお問合せがあったり、ご見学やショートステイの申込みにつながったり、効果を感じています。
永井支配人:
地域に対して、ヒュッテ目黒として何ができるか、ずっと考えていました。地域の子どもたちやご家族、お勤めの方、高齢者の方まで、誰もが安心しておいしく食べられるプリンがあるならば、場所とスタッフを提供することで、地域に貢献できます。
また、私たちの考え方も変わりました。これまでご入居者のことだけを考えてきましたが、ご入居に至る過程の中で今回のような地域に根ざす取組を通してヒュッテ目黒を知ってもらい、「ここで暮らしたい」「ここに入ればスタッフと良い関係を築ける」と感じていただけるキッカケづくりも重要だと考えるようになりました。
大和マネジャー: ホームに入居すると、どうしても社会とのつながりを失いがちです。ですので、敷地内に移動販売に来ていただけることを有り難く思っています。ご入居者は、移動販売のお傍で、マハカラさんやお客さまと会話をしたり、握手をしたりして、社会とのつながりを保っています。
福祉の仕事は、
自分で可能性を広げていける仕事。
スタッフの発案がキッカケで地域とのつながりを作り、さまざまなメリットが生まれていますね。
大和マネジャー: 通常の業務は、ご入居者の暮らしを支えること、質の高いサービスを提供することが主なので、介護・福祉関係以外の人々と話すことが少なくなりがちです。地域の店舗であるマハカラさんとつながって、新商品の開発から販売、ワークショップまで携わらせていただき、今までの業務とは違う視点で、私共の立ち位置を考えられるようになりましたし、視野が広がって通常の業務にも生きていると感じます。また、プリンとコーヒーを通してさまざまな人と接する貴重な機会をいただき、それが、私自身の仕事を楽しむことにつながっていますし、スタッフにとっても、職場でプリンが購入できるので、皆で水曜日を楽しみにしています。今ここで、ご入居者・ご家族、スタッフ、地域の人々のうれしそうな笑顔を見られることが、喜びであり、チャレンジして良かったと心から思っています。
永井支配人: スタッフの提案からスタートして、ここまで形にできたことは自信になりました。これから私たちと一緒に働こうと考えてくれている人には、介護業界に入ったから介護のことしかできないのではなく、この仕事は自分で可能性を広げていけることを伝えたいですね。声を上げればやりたいことを実現できる環境なので、今後もスタッフと一緒にチャレンジを続けていきたいと思います。
店舗外観
店内
中目黒のうれしいプリン屋さん マハカラ
東京都目黒区青葉台 1-17-5
メゾン青葉 1F
東急東横線・東京メトロ 中目黒駅西口から徒歩5分
https://happypudding.com/shop/
地下イートイン・ギャラリースペース