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ヒュッテ目黒の地域連携
オリジナルプリンを
地域の店舗と開発。
敷地内での移動販売を実現!
ヒュッテ目黒では、「目黒つながるカフェ」を開催しています。
目黒つながるカフェとは、地域とつながり、共に活動することで、新しい場や物事を創造し、地域の発展に寄与すること。ご入居者にとって、社会性を保ち、交流を楽しみ、豊かと語れる暮らしにつなげること、目的に皆さまとつながるヒュッテ目黒のセットアップカフェになります。そこで、毎週水曜日に、敷地内のスペースを開放して中目黒のプリン専門店「マハカラ」さんに、プリンの移動販売をしていただいています。ここで販売されているのは、飲み込む力が弱くなった高齢者でも安心して食べられるように開発していただいたプリン「ヒュッテ目黒のうれしいプリン」(以降、うれしいプリン)です。マハカラさん店主の金丸ご夫妻と、ヒュッテ目黒の永井支配人と大和マネジャーに、ヒュッテ目黒でプリン販売をすることになった経緯、オリジナルプリンの開発秘話などについて語り合っていただきました。
- 店主 金丸江里さん
- 大和マネジャー
- 永井支配人
マハカラさんのプリンと
ヒュッテ目黒の出会い
大和マネジャー:マハカラさんと出会ったキッカケは、ヒュッテ目黒のスタッフのひとりがマハカラさんのプリンのファンだったことです。美味しいプリンがあるのでご入居者にも紹介したい、と声をかけられました。
金丸江里さん(以降、江里さん):
マハカラは2002年に目黒川沿いにオープンした居酒屋です。店主が兵庫県出身なので、大阪のイカ焼きから発想を得た「神戸流いか玉焼き」が看板メニューで、こだわり卵を使ってお客さまに提供していました。そのこだわり卵を使って、デザートとしてひと口プリンを作ってメニューに加えたのが、マハカラのプリンのはじまりです。
プリンは好評で、お土産に持って帰りたいとの声も多く、居酒屋の隣に「うれしいプリン屋さん マハカラ」というプリン専門店をオープンして、小売販売をするようになりました。
大和マネジャー:
マハカラさんのプリンは、こだわり卵を使用した、昔ながらの蒸しプリンになります。味には定評があり、ご入居者にも味わってもらいたいと思い、マハカラさんからプリンをお取り寄せして、カフェアクティビティでお出ししてみました。ヒュッテ目黒は介護度が高いご入居者が多いので、自分の意思を言葉にすることが難しい方が多いのですが、食べ進みが早かったり、表情が柔らかになったり、普段とは違う反応を感じ取ることができました。
ご入居者も「美味しいと感じていらっしゃる!」とうれしくなり、月に1回ほど、カフェアクティビティの日を作って、定期的に楽しむようになりました。
江里さん: 実は依頼を受ける前から、高齢者施設でプリンを販売したいと考えていました。プリンは、お子さまからお年寄りまで好まれる食べ物で、ご家族へお土産にするのはもちろん、入院しているおじいちゃんおばあちゃんへの差し入れにしてくださるお客さまも多くいらっしゃいました。また、認知症を患っていた私自身の祖母もプリンを食べて笑顔になってくれた経験があったので、私たちのプリンがお役に立てるのではないかと思っていたのです。でも、具体的にどう行動したら良いのかわからなかったので、ヒュッテ目黒さんの依頼はすごくうれしかったです。
飲み込む力が弱くなっても、
そのまま食べられるプリンの開発
大和マネジャー: 毎月、カフェアクティビティでお出ししていたマハカラさんのプリンですが、実は、飲み込む力が弱くなったご入居者は、プリンを固形のまま食べることができず、ミキサーにかけてからお出ししていました。
江里さん: それを聞いたとき、すごく驚きました!私たちは、プリンは、お子さまから高齢者まで安心して食べられる食べ物だと思っていました。確かに、私たちのプリンは昔ながらのしっかり蒸して固めたタイプではありましたが、口の中に入れたら舌でつぶせるほど柔らかいものです。それさえも食べられない人がいるなんて、想像もしていないことでした。
大和マネジャー: 飲み込む力が弱くなったご入居者にも、元気なご入居者と同じ容器を開けて、同じように一緒に食べていただきたいという思いがあることをお伝えしました。
江里さん: ヒュッテ目黒さんからはいろいろなことを教わり、本当に勉強になりました!例えば、液体はむせやすいので、液体状に近づければ良いわけではないことを初めて知りました。試作品を作ってはヒュッテ目黒のスタッフさんに食べてもらい、フィードバックをもらってまた作り直す。その繰り返しで、新たなプリンが完成するまでに半年以上かかりましたね。
金丸慎さん(以降、慎さん): 今までは自分たちが考える「おいしい」を追求してきましたが、今回はまた違った視点で開発することができて、貴重な機会になりました。
ヒュッテ目黒での移動販売スタート
大和マネジャー: 半年以上もの開発期間を経て完成した「うれしいプリン」は、毎月のカフェアクティビティの日にお出ししています。なめらかさが特徴で、どのご入居者にも安心してお出しできる美味しいと好評をいただいています。このプリンを、私共だけでなく、多くの人に知ってもらいたい気持ちが沸き、マハカラさんにヒュッテ目黒で移動販売して欲しいとお願いしました。
永井支配人: ヒュッテ目黒は目黒通り沿いにあり、人通りが多い立地です。毎週水曜日、14時〜17時まで決まった日時に販売するようになると、近隣にお住いの方の会社員や習い事の行き帰りの親子連れなどの方々が定期的に来てくれるようになり、定着してきました。
江里さん: 毎週ヒュッテ目黒に行っていると、「プリン屋さん、こんにちは!」と声をかけてもらうことが増えました。街のプリン屋さんになりたいと思って始めたので、すごくうれしいです。ご入居者のご家族から「お食事もおやつも進まない中、うれしいプリンは食べてくれた。」と報告を受けることもあり、開発して作って良かったと感じています。
「うれしいプリン」が
もたらしてくれたもの
大和マネジャー: 元気なご入居者であっても、病気の進行や加齢に伴い、だんだんと食べ辛いものが増えていきます。そのような状況で、皆が同じ「うれしいプリン」を食べられることは、本当に貴重ですし、大切にしていかなければならない食の楽しみと思っています。こちらからの問いかけに反応も薄くなっていく中で、「うれしいプリン」をひと口食べると、次のひと口が待ちきれずに、口を開けて待ってくれたりします。普段と違う反応を見ることが難しくなっていく中で、もうひと口食べたいという気持ちが伝わってくると、こちらもうれしくなります。
慎さん:
ヒュッテ目黒さんで移動販売をさせていただけたことで、プリンを通していろいろな人たちと関わる機会が増えました。店舗で営業しているだけでは触れ合えなかった新たな人たちとの関わりで、私たちも良い形で成長できたと感じています。
「うれしいプリン」はプリンの向こうに笑顔があることをイメージして名付けましたが、私たちにとっても「うれしいプリン」になりました。
店舗外観
店内
中目黒のうれしいプリン屋さん マハカラ
東京都目黒区青葉台 1-17-5
メゾン青葉 1F
東急東横線・東京メトロ 中目黒駅西口から徒歩5分
https://happypudding.com/shop/
地下イートイン・ギャラリースペース